リンカーン

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監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズ

正直、戦争マニアのスピルバーグが作った南北戦争の映像を期待して行ったんだけどそういう映像はほぼなく、なんとも地味な映画であった。が、だからといって期待はずれでは全くなく、大きな満足感とともに劇場を後にすることが出来た。ほぼ全編室内でのドラマで、人間関係と駆け引きの連続が描かれるという展開。奴隷制度廃止の憲法修正を通すためにリンカーンは何をどうしたのかが描かれていく。
奴隷制度廃止の話だから人間の尊厳とか優しさとか善意を信じた故の行動で、それがすごく感動的な話なんじゃないか?と誰もが思うだろうけど、そういう安易なドラマではないことにすごく好感がもてる。全ての行動にはちゃんとした理由付けがあり、そこに感情が入る隙はない。問題や葛藤はたくさんあるんだけど、その一つ一つ論理的に答えを出し計算をし、片付けていくのである。安易な感情論に流されなくい。だから、リンカーンは全くヒロイックに描かれていないんだよね。裏ではバッチリ金をばら撒き嘘もつく。妥協もする。でも、自分で何が正しいのかをわかっていて、全てはそのための行動なのだ。その強さがダニエル・デイ=ルイスの目にピッタリ合うんだね・・。
この映画と史実がどれだけ近いのかはわからないが、この世界や社会を動かしているのは間違いなく人の手であり、頭なのだ。それを強く認識した。そして、僕らが生きる今のこの世界は僕らより前に生きた人たちが作ったものであり、その時代を生きた人たちと僕らは繋がっていて、なんというか、歴史は繋がっているのだな。

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