からたち野道

THE BOOMの歌に「からたち野道」という名曲がある。とにかく歌詞がいいんだよね。心にグッと来るすごくいい詞なんだけど、不思議なことに聞く人によって捉え方が変わる曲でもある。人によっては恋の歌だったり、故郷を思う歌だったり、反戦歌だという人もいる。

赤い実にくちびる染めて
空を見上げる
これ以上つらい日が来ませんように
飛び石踏んだ
からたち野道 花ふく小道 
泣いたらだめよと 虫の音小唄
からたち野道 はるかな小道
あのひとのもとへと続く道

紅い血にくちびる噛んで
空を見上げる
もう二度とつらい日が来ませんようにと
まぶたを閉じた
からたち野道 垣根の小道
泣いたらだめよと 沢の音小唄

からたち野道 はるかな小道
あの人の歌がきこえた道

 これが歌詞の一部なんだけど、とにかく切なくて悲しい歌詞なのである。前はいたけど今はいない誰かの喪失感に泣きそうになりながらも、必死でそれを我慢している様子が伝わってくる。「あの人」とは幼い頃に遊んでくれた母かも知れないし、戦争に取られた愛する人かも知れない。
 失ったその人との思い出がたくさんあるからたち野道を歩きながら、主人公はその人のことを想う。遊んでくれた思いで、歌ってくれた思いで、一緒にそこを歩いた思い出。でも、残念ながらそれらはやっぱり思い出でしかないんだよね・・。それを想うと泣きたくなるんだけど、必死で我慢する。
「唇を噛んで」の部分に耐えている様子がわかる。おそらくその人は手を力一杯握りしめて、涙がこぼれない様に空を見上げている。この「耐える」感覚は誰もが味わったことのある気持ちで、だからこそ、その人なりの捉え方が出来るのかもしれない・・。
 
 この歌のもう1ついいのは、そんなに有名な曲でもないところで(笑)、知るぞ人ぞ知る曲でもあるんだよね。もう10年前以上の曲だけど未だにその価値は変わらず、聴くとその世界に入れる。

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