僕らの祖国

e0253132_12262476  この歳になったからなのか、それとも家族が出来きたから、時折難しい疑問にぶつかることがある。家族ってなんだろうとか、平和ってなんだろうとか、豊かさってなんだろう、国家ってなんだろうとかね。これらの疑問には技術的な、知識としての答えと共に、精神的というか、心の中での捉え方もあるのが難しい。特に「国・国家」というのが僕にとっては難しかった。誰にでも故郷と呼ぶべき場所・概念があり、それはとても大切なことである、というのが僕の認識だったのだが、僕にはそれがイマイチ心当たりがない。僕の生い立ちがアレだからなんだろうなあ、と心の中では思ってはいたのだが、いつか息子に「国とか愛国心とか、故郷ってなんなの?」ときかれたら困るなあ、と思っていたときに出会ったのがこの本である。
こういうことを考えると決まって右よりとか右翼とか、政治的な思想を含んだイメージが先走って「なんだか悪いことをしている」というイメージにとらわれたりするんだけど、この本を読んで、なぜそう思うように至ったのという所までを教えてくれる。そして、「祖国」というのは何なのかまでもを把握させてくれる。それらは遠くに透けて見えるような曖昧なものではなく、確かに今も存在し、今後も未来永劫に続くものなのだ。そこには政治的な思想もなければ、算段もない。
難しいのは、生活に追われているというこういうところに全く頭が回らないところなんだよね。日本ではこういうことを考えなくても、なんの問題もなく生きていくことが出来てしまう。いいのか悪いのかだけど、これを読んだ後では何も考えずに生きることほどもったいないことはないと気づく。気になる人、貸すよ。

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