2016ベスト映画

 今年観た映画の一覧を眺めながら、何が一番だったかを考えてみた。興行的に超ヒットという作品はなかったけどかなりの良作が多く、ハズれの少ない一年でもあった。その中でも特別な輝きを放ったのが「クリード」である。ご存知、ロッキーシリーズの最新作である。アポロの隠し子がロッキーにトレーナーを頼み戦うという内容である。ロッキーの最新作なんて、今意味があるのか?そもそも今の時代にロッキーのテーマが合うのか?という不安を大きく吹き飛ばし、まさに現代版のロッキーを見せてくれた。
 最初のロッキーは恵まれない自分の環境と、自分自身に打ち勝つための「ハングリー精神」というのが大きなポイントだったけど、クリードの主人公はエリートであり金持ちという設定である。そんな彼をボクシングに打ち込ませるのは「自分自身の証明」と「どうしょうもないボクシングへの情熱」だけなのである。僕はこの部分がすごくいいところだと思うんだよね。今の時代に合っているというか、現代的というか。僕らが生きる今の時代にボクシングで成り上がるとかはあまり現実味がなく、そのためハングリー精神を描くことはできない。また、どの分野においてもすでに最高のものはすでに生まれている。
 今の時代、誰かを何かに搔き立てるのは「どうしようもなくやりたい」という情熱が一番ピンとくるんだよね。クリードが家でロッキーの試合をyoutubeで見ながら思わず立ち上がり、シャドウを始めるシーンがあるんだけど、あれすごくよく分かるんだよね。今からでは誰よりも上手くはなることは出来ないし、サッカー経験もないし、体だって衰えが来ているし、しょせん地方の三部リーグだけど、それでもやりたいんだよね。どうしようもなくやりたくなるあの気持ち、よくわかる人はたくさんいるんじゃないかな。まさに今の時代の新しいロッキー。見ていない人はおすすめです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。