沖縄2

 旅行先の歴代はやはり気になるのものである。僕も今回の旅の際には寄りたいところがあった。それは白梅の塔という所で、ひめゆりの塔と同じような場所である。まあ、行ってみれば学徒隊として看護師をやらされた女学生たちの慰霊碑である。ひめゆりは有名だけど、実は同じような運命を辿った女学校が8つあり、ひめゆり以外はあんまり知られていない。実際その場所を2度訪れたのだが、僕ら以外に参拝者はいなかった。
 僕ももちろんその存在を知っていたわけではなかったけど、読んだ本の中に白梅の塔のことが載っておりなんだか引っ掛かっていたんだよね。沖縄本島でもその存在が忘れられているぐらいだから、どんな場所なのだろうか、と。実際の場所は看板があるものの見つけるのもそう簡単ではなく、田舎道の途中で見つけた感じ。区分けはされていないが、ちゃんと駐車場がありトイレも用意されていた。一帯は静かで、綺麗にされていたからきっと誰かが定期的に清掃をしていることがうかがえた。現在の人々の手が入っていることが見えてなんだかちょっとした安心感を感じた。慰霊碑は鬱蒼とした木々に追われており影になってはいるが、うだるような暑さは変わらない。慰霊碑のそばには白梅の成り立ちや辿った運命が記されていた。良くある戦争の悲話といえばそれまでだが、自分のその場に立っている事を思うと違った感覚があるものだ。亡くなった方達の名前が刻まれているんだけど、びっくりすることに僕と同じ苗字の方が三人いた。二人は女学生、一人は先生であった・・。予想もしていなかっただけにびっくりであった。もちろん、僕と関係があるかどうは分からないけど、なんとも言えない気分になってしまった。
 実はこの白梅の塔のそばに、自決之壕と呼ばれる防空壕がそのまま残っている。防空壕というと聞こえはいいが、ただの洞穴である。その中では兵士と6名の学徒隊が自決したとされていて、今でも最深部に降りれるようになっている。中は光が届かないし、降りるには少しの勇気が必要なぐらいの感じだったけど、自分と同じ苗字の人がそこで自決した可能性があるわけで、中に入らずには帰れなかった。降りてみたら中はほとんど光が届かない感じ。ひんやりとしていて、小さな仏壇に花が供えられていた。落ち葉だらけで触ったら手が切れそうな岩ばかり。当時とあまり変わらないことが容易に想像できた。僕は何の宗教知識も持ち合わせていないが、心を込めて手を合わせた。
 沖縄の底抜けに明るい太陽と、歴史の暗さのコントラストがあまりにも強くて、どっちに心の重きを置くべきか、最後まで良く分からなかった。ただ楽しむだけの人を多く見たけど、あれはアレで正しいとも思う。結局は自分の心の在り方次第かなあ。

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