服の値段

 セールでドーバーに行った時、ギャルソンでちょっとかっこいいベストがあって、それが40%OFFだった。ギャルソンが40%OFFになるのは年に一回だけだから、みんな我先にと買っていくので、買うか買わないかその場での素早い判断が必要になる。迷っていると取られてしまうからね。なのですぐに手に取って値段を確認したんだけど、40%OFFでも85,000円ぐらいだったのである。ドーバーで売られている商品の価格帯はそんなものだから驚きはしないけど、それをポンポンと買っていく人がたくさんいて、単純に「すごいなあ」と思ってしまった。すげーな、と思ったのともにちょっと安心したりもした。
 ファッションに金をかける・かけないの基準はその人次第で、ユニクロでもハイブランドでも洋服という意味では同じである。後は個人の判断と財政状況なんだろうけど、洋服を買うことにそこまで情熱を燃やしている人がたくさんいた事にちょっと安心したんだよね。ファーストファッションに代表されるようなものがたくさんあるし、それだって決して粗悪なものではない今、それでも欲しいと思ったものに狙いを定めて一生懸命買いにくるあの感じ?滑稽だけど同時にいいなあ、と思ったんだよね。多分皆この日のためにお金を貯めたりしていたと思うんだよね。で、楽しみに待っているわけでしょ?試着をしてレジに並ぶ頃には頭の中で気持ちいい物質があふれ出しているに違いない。
 服に限らず、色んな趣味に金をかける人たちを見て、それを共有できない人たちは小ばかにしたりする。けど、彼らはあの気持ちよさを知らないんだよね。どの趣味でもそうだろうけど、消費したその金が文化を作っているんだよね。大金をクレジットカード決済していく人たちをみて格好いいな、と思った。