良い人

 そういえば、キキキリンさんが亡くなった時にちょっとした違和感を感じていて、なんだろうなあと思ったんだけど、亡くなった途端に「いい人」にしてしまうあの風潮?が変だと思うんだよね。ああいう感じの人なんだから、絶対に周りから見れば面倒で怖い人だっただろうし、人によっては「嫌い」の領域に入っていたに違いない。
 キキキリンさんの逸話はたくさんあるけど、一番いいのは鉄パイプで内田裕也をボコボコにした話である。あれ以降、喧嘩になる時に止めるべきはキキキリンであって内田裕也でない、となったらしいけど、本人は
「確かに鉄パイプは持ったが叩いてはいない」
と言っているようで、やっぱり怖い人じゃないか?と思ったのを覚えている。「東京タワー」の監督に対するディスり方なんて、可愛そうになるぐらいである。
 亡くなった途端、あの人は良い人だった、的な番組はキキキリンさんの時だけでなく、有名人が亡くなる度にそうなんだけど、本当にそうか?と思ってしまう。誰にでもいい側面と同じように良くない部分もあるはずで、あれだけ正直な人だったんだから敵も多かったと思うんだよね。色んな人が今キキキリンさんについてコメントをしているけど、死人に口なしというか、本人の前でそれ言えるか?と思っちゃうんだよね。素晴らしい人だっとか、素晴らしい女性だった、なんて本人の前で言ってしまった日には「あんたは映画の何を知っている?女性の何を知っている?」と返されて恥をかかされるに決まっている笑。自分に向けられた誉め言葉の羅列を聞いて、今頃あの世で怒っているに違いない。