見る目が変わる姿

 熱心な相撲ファンではない僕だけど、千代の富士だけは別格な人であることは知っていた。知っていたというか、テレビを通じて観たその姿に、人間としてちがう何かがあるのだと感じたのを覚えている。
 
 日本人以外の人が相撲を見るときには、その中にちょっとした「奇異」さを必ず感じる。そりゃおかしな髪形をした尻丸だしの大男たちが向かい合っているのだから、不思議なものを見ている気分になるのは良くわかる。そういう人にはいつも「相撲は不思議なものではなく、遥か昔から連なる歴史があって・・」と説明しようとするんだけど、外国人が一番気になるのは歩くこともままならないお男の裸だったりするんだよね。そういう時にすごく便利だったのが、千代の富士の姿である。鎧を着ているんじゃないかと思うあの体だ、そして眼光。男の人ならきっとわかってくれると思うけど「ケンカでは絶対勝てない」あの雰囲気。みんな小さいというけど、余計怖いよ!のあの感じ。もはや色気があるとも言える。相撲を始めてみる外国人でも、千代の富士の姿を見せれば相撲の本当の姿みたいなものを感じてもらえたんだよね。
 力士になった理由を「飛行機に乗せてあげる」と言われたからだとか、色んな面白い逸話がある人でもあるよね。亡くなったことを受けてきっとたくさんの美談だ出ているんだろうけど、実は超怖い人だったんじゃないか、と思ったりする。この取り組みが結構印象に残っているんだよね・・。

怒っててもカッコいいな、でも。