オールスター

 このチームが生まれた時は、この日を想像していませんでした。当初掲げたコンセプトは常に上を目指すような完全な競技志向のチームとは別のもので、本気でやる気さえあれば誰でも受け入れるという、窓口を限りなく解放するものでした。経験はなくとも、年齢がいくつであろうと、本気でフットサルをしたいと思っている人達がたくさん居るはず、そしてそこにこそやる意味があるんじゃないか、と思ったからです。勝つだけが全てじゃない、上に行くことだけが全てじゃない、「真剣に打ち込める場所こそが大事」というのが代表と僕の間にあった共通の価値観でした。が、もちろん、ボールが転がりだすとなんとしてでも勝ちたいという気持ちが当たり前に生まれ、Weedは常にこの
「下手でも勝ちたい!」
という矛盾の中を手探りで進んできました。当時は上は40代、下は15-6歳のメンバーがいて、皆同じように走る姿をみて、その多様性の中に僕はある種の手応えと確信を得ました。でも、それでも県リーグ参加とか二部昇格とか、そんなことは夢の夢どころか頭の片隅にもありませんでした。
ところが情熱の力には抗えないもので、真剣にやっているだけに戦いの場を常に探していました。そしてそれは市リーグ、県リーグへと移っていきました。その間に色んなメンバーが入ったり出て行ったりするなかでも、最初にたてた理念だけは崩さずにやってきました。僕や代表がチームの牽引から退いた後でも、後輩たちがそれを守ってくれていて、それが昨日の試合に繋がっているのです。
試合後に、これまでチームに在籍してくれた人たちの顔が浮かびました。仕事や進学、家庭の都合で参加できなくなったメンバー、県リーグに参加するにあたって退いたメンバー。そしてその人たちがかけてくれた言葉。間違いなく昨日のあの瞬間はそれらの人たちの存在の上に成り立っており、僕はそれがなによりも嬉しいです。アップ時に古いユニを着て行ったのはそういう思いがあるからで、みんな一緒というか、今までの時間も引き連れて戦ってやろうと思っていたからです。

そして選手たち。何の縁が巡り巡って今の関係に繋がっているのか知る由もないが、そう簡単に得られるものではないこと、そして今後の人生でも幾度となく思い出すであろう瞬間をたくさん作ってくれた仲間である。中学生のころから知っている奴、尊敬すべき先輩たち、頼もしきキャプテン、地道に努力を重ねる奴、チームのために働いてくれる奴。みんな、僕の中のオールスターです。

<