この世界の片隅に 原作

 映画版の「この世界の片隅に」がまだ心に残っていて、原作であるコミックを買ってしまった。映画版と内容はほぼ同じだが、時間のためか映画ではカットされた所が数か所あり、これはこれで買って良かったと繰り返し読んでいる。コミックを買って気づいたんだけど、映画版には映画ならではの、コミック版にはコミックならではの表現方法がそれぞれにあって「映画として」、「コミックとして」違うメディアでありながらそのメディアの特徴が物語にあっていて、作った人すげーな、と驚くばかりである。
 失ったものを語る物語でもあるから親になった今となっては振り返るのがつらいけど、繰り返し観たり読んだりすると新しく気づくことがある。そして、そのどれにも「歴史に対する責任というか、真摯さ」みたいなものがあるものだから、読んでいるこっちもついつい心の姿勢を正しながら読んでしまう。それだけに辛い場面は本当に辛いんだけどね・・。でも、だからこそ喪失の後に描かれる再生にも大きな説得力があって、それだけで救われる思いである。でも、失うのは怖いな、本当。