1Q84

 ここの所、また映画と読書の波が来ている。バイオリズムの上下は1年を通じてあって、どうやら今ぐらいがピークらしい。今回読んだのはあの1Q84。飛行機の中での時間つぶし用に買ったのだが、映画ばかり観て全く読まなかったのだ。ケイタ辺りは読んだのだろうか、いや、何回読んだのかな笑。
 ハルキものを読むのはすごく久しぶりだったので、読みながら「そうそう、この感じ」と懐かしい感覚があった。現実と微妙にずれたこの感覚、とでもいうのかな。リトル・ピープルや二つの月なんかもおそうだけど、NHKの集金人のくだりが一番気持ち悪かった。ああいう、「日常の間に無限に重ねられた怨念に近い気持ち」ってのはいつ具現化してもおかしくないと思うんだよね笑。そこに実態はなくても存在感はあって、消えることなくその場所に留まりそうだ。
 それからやはり、ハルキが描写する生活様式である。ハルキが描く生活に憧れていることは前にも書いたけど、この作品でもそういう描写があって楽しかった。特に一人暮らしの男生活を送る主人公の日々はとても良さそうだ。シンプルでありながらも自由であり、豊かなんだよね。クラッカーの上にチーズを乗せるくだりとか、トーストを焼く時の描写。ワインを片手にベランダに座り、月を眺める場面とかもね。決して裕福ではないんだけど足ることを知り、自分の中での満足の基準を大事にしている。スマートというのか、さりげないというのか、生活なのに生活臭が全くない。日々は日常の繰り返しではない、俺もそういう価値観の中で生きたいぜ。