ライブが大事

 僕の父が言っていた話で
「ブルース・リーの映画を見た後、劇場の外に出るとみんながブルース・リーになっていた」
というのがある。東洋人である父に向かって「アチョー!」と声をかけたり、「カラテをやってみせてくれ!」と、言ったりと、とにかく当時のブルース・リー熱はすごかったようだ。父は中国人でもなければ空手もしないし、そもそもブルース・リーはカラテじゃないという、何重にも間違いがあるんだけど、リアルタイムでブルース・リーにやられた世代というのがあるのだ。
 ビデオテープもない時代では「映画をリアルタイムで映画館で見る」ということが普通だった。自然にその時代その時代の空気感、匂い込みで映画を体験するが出来たのだ。幸か不幸か、今の映画は家庭でも楽しめるようになっているから「リアルタイムで見る事」にイマイチ重点が置かれないが、ときたま「今、この時代で見るべき映画」というのがある。父が体験したブルース・リー映画の熱のような映画が時々あるんだよね。世代によっては「パルプ・フィクション」だったり「スター・ウォーズ」だったり「マトリックス」かも知れない。僕の世代は多分「ランボ-2」とかかな。もっと若い人は「ハリー・ポッター シリーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」だったりするのかも。公開されたその時、リアルタイムで観ることに喜びが感じれる映画というのがあるのである。
 その映画の一つがまさに今上映されている「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」である。昨日鑑賞したんだけど、見終わって思ったのは、この映画はおそらく100年後の世界の人たちも観るだろうってこと、そしてそれをリアルタイムで見ている僕はきっと幸運なんだ、ということである。父が僕にブルース・リーの話をしたように、僕も子供に「マッド・マックスはね~」みたいな話をするのかも知れない。必見です。