伝統と何か

 一連の相撲騒動で思うのは、相撲の立ち位置の微妙さ。国技でありながら、暴力や賭博や八百長の話が常について回るというこのアンバランスさ。片方では年寄り株とか理事会とか師匠と弟子の関係とか、現代の社会からある意味あえて浮世離れした伝統としきたりの世界でありながら、実は夜の街に出かけてはそこを歩いている女性に声をかけてそのまま店まで連れて回ってカラオケを楽しんで、酒を飲んでは暴れるという極めて世俗的な世界でもある。横綱というのは神様みたいな存在なんだけどその上には先輩がいて、さらに一般時で構成されたゼーレみたいな「審議会」があって、そこには逆らえない。「ん?神様じゃないの?」ってなってしまう。何から何までが相反する矛盾の中にあって、どこが正しいのかがイマイチ分からないけど、この曖昧なごちゃ混ぜな世界が実は面白かったりするのかな。今まで相撲に引かれたことってなかったけど、実は土俵上での戦いだけではなく、こういう人間関係や裏のストーリーや駆け引きを楽しむものだったのかな。