エイプリルフール

そういえば今年は日曜日だったこともあって、エイプリルフールが盛り上がらなかった。いつもだったら色んな企業や個人が気の利いたものからどう考えても面白くないような嘘を並べていたんだけど、今年は大人しかった。理由はきっとたくさんあるんだろうけど、実は誰も求めていなかった、というのが一番大きいのかも知れない。外から入ってきても、根付く風習と根付かない風習があるけど、その境目はどうなのだろう。エイプリルフールは商売にもならないから、やはりダメなのかな。それとも、日本の場合は「ジョーク」というか、「お笑い」というものが発達しすぎていて、人を笑わせるための敷居が高い気もするんだよね。日本におけるユーモアは多様で複雑で、簡単なものではないのが一番大きい気がする。

怖い瞬間

いつも思うんだけど、夜走るのは割とリスクのあることなんだよな、と。誰もいない真っ暗な道を走るのは時々怖くもあり、今ここで暴行をしようとしている人がいたら防ぐのは難しいなあ、という思いが頭をよぎったりする。終盤ともなれば結構疲れているので、抵抗がしづらいし逃げ切れなそう、というのもある。

人がいなかったらいないでちょっと怖かったりするんだけど、いたらいたらですれ違う時の距離感に気を使ったりする。歩いている人が女性だと不審がられないように出来るだけ遠くを通ったりするので、余計疲れたりする。まあ、こういうのはいいんだけど、怖いのは心霊的な奴である。僕はそっち方面の才能が全くないみたいだから今までに恐怖を感じたことはないけど、つい最近ちょっとこれは・・、という瞬間があった。

走る距離が短くならないように(さぼらないように)毎回決まったコースを知るんだけど、その終盤ぐらいの所で角を曲がった所の10-15メートル先に若い女性が立っていた。その女性は両腕を前にいっぱいに突き出して、本を持っている。暗いし、何よりも体から一番遠いところで持っているから、読めているのかなあ?と思いながら、例のごとく距離を開けて通ろうとしたら、その人も歩いているんだよね。歩いてはいるんだけど、前に進んでなくて、よくよくみたら後ろに進んでいた。「後ろ歩き」をしていたのである。夜にキョンシーみたいに腕を伸ばして後ろ歩き?!その瞬間、「ついに来たか!これがこの世のものではない何かとのファースト・コンタクトか!」「夜に後ろ歩きってそれなりの悪い意味がありそう」と思ったけど、僕はもう進むしかない・・。ここはもう、まるで見えていないかのようにそーっと通り過ぎよう、と覚悟を決めて進んだ。何事もないかのよう走りすぎようとしたら、横を通る時にどうしても気になってふと見てしまったんだよね。顔を見てみたんだけど、普通の中学生ぐらいの女性で、向こうは向こうで非常にバツの悪い顔をしていて「こんな姿誰にも見てほしくなかった・・」という表情だったのである。多分何かのトレーニングか練習をしていた中学生の女の子だったんだろうな。途端に足取りが軽くなり、いいペースで走れた夜であった。