師匠の師匠

 「かぐや姫」の特集をやっぱり日テレでやっていた。高畑監督がピクサーに行って、そこで「かぐや姫」を上映するんだけど、アメリカにいるありとあらゆるクリエーターが集まって、みんな高畑監督に挨拶したがる。みんな脱帽して、緊張しながら監督の前であたふたする映像が面白かった。デカい体の外国人が、小柄でしわくちゃのスーツを着ている高畑監督の前でドギマギする。向こうではそれほど高畑監督は有名で尊敬を集める存在なんだよね。
 で、高畑監督がわざわざアメリカまで「かぐや姫」を持っていたのはピクサーで上映するためではなく、実は彼に影響を与えたカナダのアニメーション作家に見せるためであった。緊張の表情でカナダに向かう監督。高畑監督はオーバー70、そのカナダの作家はオーバー90。さっきまで人々に尊敬のまなざしを向けられた高畑監督が今度は少年の様な立ち姿で、歩くのもやっとのじいさんの前でドギマギしている。なんとも微笑ましい映像であった。
 いくつになっても先輩はいるもので、どんな偉い人にも頭の上がらない人がいるもの。僕はそういう、いい歳になってもなお先輩や目上の人に頭が上がらない人って好きなんだよね笑。普段は周りから尊敬され恐れられていても、実は絶対に逆らえない人がいる、みたいなね。普段は見せないし意識もさせないけど、誰にでも歩んできたルーツがあって、時折見えるそういう「その人の昔の空気」って何だか魅力的なんだよね。