職人

20140121-215846.jpg昨年の夏以来かな、愛するVISVIMのFBTを久しぶりに履いてみたらソールがちょっと剥がれかけていた。くっついている部分に力を入れて剥がしてみたら、右足も左足も剥がれそうであった。おそらく接着剤の寿命が来たのだろう。ゴムのソールを使っているシューズの宿命である。
ずっと探していて、状態のいいものをやっと見つけたモデルだったので、まだまだ履きたい。早速、シューズリペアの店に持ち込んだ。が、職人さんがあまりいい顔をしない。職人さんが言うには、一度剥がれたものを張り直すのは難しく、一度張り合わせたとしても、また剥がれる可能性があるとのこと。まず、適正な糊を見つけるのが難しい。糊にはいろいろあり、ベストの糊を把握しているのは生産者である。そして革が一度糊を吸収してしまっている。さらに、履いてきたことで靴の状態も変わっていることも原因になるとのことであった。僕も興味があるものだから、色々質問をしながら会話が続いた。職人さんも興味を持つ僕に何かを感じたのか、靴について色んな話をしてくれて、最後に
「でもお客さん、この靴好きそうだから、なんとかやってみますよ・・」
と言ってくれたのだ。なんかねー、それが滅茶苦茶格好良かったんだよね笑。普通のおじさんなんだけど。シャツとネクタイの上からエプロンをして、ピシッとした格好なんだけど、手を見たらいい具合にくたびれていたんだよね。爪も変形していて色も黒くなっているし、所々に接着剤がついていて、職人の手はこういうものか、という手であった。おそらく僕が持ち込んだシューズは仕事としては美味しくもなく、面倒でリスクのある仕事だったのだろう。それでも受けてくれたことが嬉しかったし、例え糊があまり長くもたなくても上の言葉だけで気持ちの半分は満たされるんだよね。感謝だ。