安さの代償

学生時代に何度か夜行バスにお世話になったことがある。快適さや気持ちよさはもちろんなかった。ただただ体を運ばれるだけしか求めていなかったので、そういうものかと思っていたのだが、安全かどうかを気にしたことはなかった。あったとしてもそれは車内でのスリぐらいで、車が事故を起こす可能性があることを想像したことはあまりなかった。貧乏学生であった僕にとって大事なのはチケットの安さだけで、それ以外はどうでも良かったんだよね。おそらくだけど、今も夜行バスに求められるものは変わらないはずで。昔とは違う時代だし、色々と無理があったのかな。

ああいうバスは深夜にでて、向こうに朝一で着くんだよね。朝もやが残る誰もいない町中に放り出されるあの感覚は実に寂しいものだったのだが、今思えば安全に運んでもらっただけでもラッキーだったのかもしれない。