やなせたかし

普通はアンパンマンの作者という認識だろうけど、僕は子供時代にアンパンマンのレールを通ってきていないので、やなせたかしと言えば「ちょっとおかしい人」という認識である。fb2ffccc最初に引っかかったのはアンパンマンのテーマの歌詞で
なんのために生まれて なにをして生きるのか
こたえられないなんて そんなのはいやだ!

って所と

愛と勇気だけがともだちさ

である。どっちも子供向けのアニメには似つかわしくない歌詞で、特にアンパンマンって仲間がたくさんいるのに「愛と勇気だけが~」だから、「他のキャラのことはどうも思っていないのか!」と思ったりしていたのだ。で、決定打とはったのは「チリンの鈴」という短編アニメである。

チリンという子羊が主人公で、チリンがいる牧場がオオカミに襲われ、大好きな母を食べられてしまう。強くならないといけない、と思ったチリンは旅に出てそのオオカミを見つけ出し、戦い方を教えてもらおうとする。「強さは孤独だぞ」と、オオカミは最初は相手にしないのだが、チリンの本気を感じ、戦いかたを教えるようになる。鍛えられ、強くなっていくチリンはその怒りや復讐心やたくさんの戦いと殺しを経て、オオカミとも羊ともとれない姿に変わっていく。強さを手にし、変り果てた自分を受け入れたチリンは、オオカミとともに恐れられる様になっていく・・。二人はもは同等の強さを誇っていた。
 そんななか、まるでチリンの成長を試すかのように、チリンが生まれ育った牧場を襲うと提案するオオカミ。すでに羊の心を持たないチリンは賛成する。嵐の夜、牧場に向かうチリン。なんなく番犬たちをやっつけるが、最後の最後にやはり羊を襲うことは出来ない・・。じゃあ、俺がやるとオオカミが羊たちを襲うとする所を、チリンが前に立ちはだかる。チリンは羊としての心を取り戻したのだ!戦うチリンとオオカミ。そしてついにオオカミを殺すチリン・・・。オオカミは強くなったチリンを誇りに思い、さらに自分の死に方は運命だと語り絶命する。戦いを終えたチリンは羊たちに近づくが、皆恐怖の表情を浮かべて逃げていく。誰も昔一緒に暮らしたチリンだとは気づかなかったのだ。その後は、時折山の方から風にのって、チリンの鈴の音がすることがあったが、チリンの姿を見たものはいなかったという・・。

という話なんだけど、まったく救いのない感じになんだか狂気みたいなものを感じたんだよね・・。しかもこれはサンリオ系のDVDに入っているものだから、ちょっと不思議だったのである。ドラえもんがそうであるように、アンパンマンやそのほかの作品も作者なしでも続くんだろうけど、やなせたかし的な毒や危なっかしさが無くならなければいいなあ、と思う。

チリンの鈴 – Ringing Bell (1978)(English subs) 投稿者 mymelodyseason4