引退

 海外を含め、数々のチームを渡り歩いたスズキタカユキが引退を発表したとのニュース。僕は千葉に所属していたことも知らなかったぐらいなので悲しい思いがある訳じゃないが、たとえレベルを下げてでもずっと現役を続ける選手だろうなあ、というイメージがあった。その要因はもちろん、スズキタカユキのキャリアに嫌でもついて回るベルギー戦のあのゴールだよね。あの、つま先で押し込んだゴール。スピードもなければ高さもなく、かと言ってシュートも上手いわけではない、そんな選手がワールドカップという大舞台で決めたゴール。精一杯伸ばした足の先の先、つま先だけでボールを押し込んだあの姿、最後まであがく選手であることだけは良くわかったよね。
 前からのプレスはすごいけど、ゴールを全然決めないスズキタカユキはネット上でDFWと揶揄されていたっけ。今思えば、色んなものを持っていない選手だったからこそ決められたゴールだったのかもしれない。あのゴールは間違いなく日本サッカーの歴史を切り開いた一発だったし、文字通り「気持ちだけで決めたゴール」であることは、当時の日本サッカーにおいてなんとなく「正しい」気がしたんだよね。