義理

 健康診断の後、義理の両親の家まで子供を迎えにいった。我が先生の育児において、義理の両親は大活躍しており、感謝しきれないぐらいに助かっている。広い家なので先生も好き放題に歩き回り、いつも楽しそうである。
 出しもらったコーヒーを飲みながら雑談をしていると、庭の木に二羽の鳥が止まった。早速先生がそれに注目して、手をさしながら「ピヨピヨ」のベビーサインを連発している。もっと良く見えるように、窓の近くに座っていたお爺ちゃんの膝に腰かけ、夢中で見ている。お爺ちゃんも鳥を見ながら、あそこにいるよとか、もう一羽来たよとか、先生と話しながら庭の木を見ている。僕はその二人を背中側から見ていた。二人とも同じところを見ているので、座り方も姿勢も同じで、なんとなく後頭部の形も似ていて、良く分からないけど嬉しくなってしまった笑。一瞬、写真を撮ろうかなと思ったけど、これは心の中に置いておいた方がいいかなあ、と感じて見守ることにした。
 義理の父と僕は全くの他人なんだけど、父は間違いなく先生のことを愛しており、守ってくれている。そして先生も義父のことが好きで、なんていうか、簡単にいうと僕らは家族なのだ。普段は迷惑をかけないようにとか、失礼のないようにとか、義理の息子らしく振舞っているんだけど、そういう建前なしでも間違いなく家族であることを、先生を通して理解できた気がする。当たり前のことなんだろうけどね。

待ち時間

 待合室で待ち疲れないように文庫本を用意していった。芸能人のがんの話が多くなってから検診の人がすごく増えているようで、とんでもなく待たされるんじゃないかと戦々恐々だったのだが、意外や意外、すいすいと検査が進む。文庫本の方がいい所まで進んでいるところで次の検査に呼ばれてしまい、嬉しいのやら悲しいのやらと複雑な気分。ついにバリウム検査も終わり、病院を後にしながら違う方向から後ろ髪を引かれる気分であった。
 それにしても、バリウム検査の後って絶対体調を崩す。飲んだことのない下剤を絶対飲まされるし、本当に毎回疲れる。体のために行っているのに体調崩すってどうなの?