カエルの歌

 毎年この時期になると、草刈りを頼まれる一軒家がある。おばあちゃんが住んでいるんだけど、庭が広く体がもたないためにやってくれってことで、毎年の恒例行事になっている。こっちとしては特にやりたくはないんだけど、動けないと言われると流石に放っておくことができずに毎年出向いている。
 割と広い庭で、草刈り機で一気に刈るんだけど、決まって大きなカエルが奥から顔をだす。最初はびっくりしていたのだが、もう慣れたもので今では傷つけないようにと芝刈り機を使っている。このカエルが立派なもので、成人男性の握りこぶしぐらいの大きさがあるかなあ。色も緑がかった黒で、可愛らしさが微塵もないゴツゴツとしたカエルである。今年も無事対面を果たし、やっぱりビックリしたやら安心したやら、である。
 今回の対面の時に思ったんだけど、昔はなんの躊躇もなく素手で掴んでいたんだよね。捕まえては何をしていたかなんて覚えていないんだけど、怖さや気持ち悪さもなく、普通に手で掴んでいた。誰から掴み方を教わったかどうかも覚えていなけど、今やれと言われたすぐに出来る自信はない。アウトドア好きに父から教わったんだろうけど、案外忘れてしまうものなんだなあ。いつか息子にそういうことを教える時が来るわけで、「出来ない」ではあまりにも恰好悪いよね・・。