表現の自由

 表現の自由ってなんだろね、って思う。話題になっているサカキバラの本のことである。元サカキバラって言った方がいいのかな。普通に考えるとサカキバラは法に裁かれ、それに乗っ取って更生し(きっと)、犯したことに対する責任は果たしたという事になる。実際には少年法に守られたので「懲役」ではないんだけど、国として定められた道は歩んできたわけだ。で、ここにきての出版である。問題は遺族に伺いを立てていなかったという、法やルールではなく感情としての側面が問題になっている。また、印税の問題もある。ネタにされる被害者遺族側は印税はもらえないし、くれると言ってももらいたくないだろう。匿名で書かれていることも論点の一つで、出版を通して社会に訴えたい何かがあれば当然実名で出すべき、という声も多い。これは当たり前だけど、社会的な日常を保つためにはやはり難しいだろう。
 
 誰も言わないし書かないし、すごく不謹慎だけど、きっとこの事件って「魅力的」だと思うんだよね。普通なら「なんで今さら本出すの?」となると思うんだけど、ここまで大きな話題になるってことは人々を引き付ける何かがあって、今尚その引力は生きているということだろう。皆それについて語りたいし、その事件を通して何かを見た、見えた気になったのだろう。そんな本、けしからん!と言っている人たちの心の中にも好奇心はあって、少なからず刺激はされているはずだ。なんか、一冊の本を前にその人の考え方が試されるなんて、変な話だ。