世界にひとつのプレイブック

期待して観たんだけど、期待どうりの出来で大満足な一本。

妻に浮気をされ、躁鬱病で八ヶ月間精神科に入院をした主人公。退院してもなお未練タラタラで復縁を願っているんだけど、接近禁止令まで出されている始末。復縁に希望を感じているのは本人だけで、周りは可能性がないこと知っている。入院前は教師だったんだけど、もちろんクビにされ現在は無職。
もう一人の主人公は、事故で夫を亡くした女性。そのショックで精神のバランスを崩し、勤務先の男全員(女も)とヤリまくりクビになり、それが噂になり家に変な男たちが訪ねてくる始末。しかも実家。そんな二人が出会い、ダンスを通じて立ち直ろうとする物語である。
精神的に危ない二人だから、色んな意味でも怖い映画なんだけど、実は彼らをとりまく町もひたすら冷たく、家族も「正常」とは言えない状態なのだ。フットボールファンであり、ゲンかつぎを異常に信望している彼の父は無職でノミやを始めていて、しかもけんかで人を殴ってスタジアムは立ち入り禁止。レストランの開業を目論んでいるが、せっかくの金を賭けに使ってしまう。二人を引き合わせる親友夫婦も仮面夫婦で、親友は仕事のプレッシャーで今にもキレそう。
そのため、二人は自然に引き合うんだけど、彼には浮気をした妻しか目に入っていない。ダンス大会に出場したい彼女は彼の気を引くために、「元妻に手紙を渡してあげる」などと餌を撒き彼を繋ぎとめようとする・・。

最終的には二人は大きな賭けを託され、ダンスの大会に出場する。そこで練習していた大技を繰り出すんだけど、見事に失敗してしまう。この「失敗」こそがこの映画のテーマなんだよね。二人はそれぞれの生活の中で失敗をし、レールから外れている状態で、なんとか軌道修正しようと必死である。つまり、失敗から立ち直ろうとしているんだよね。

この映画を撮った監督は前にすごい面白い「スリー・キングス」という映画を撮って、未来の大監督!なんて言われていたけど、出演者とモメまくり干された過去がある。つまり、この監督もこの映画で失敗から立ち直ろうとしているのだ。

最後にどうなるかは見てのお楽しみだけど、実はとてもオーソドックスな作りで分かりやすいハッピーエンディングになっている。人は失敗から学び克服し、自分たちなりの何かを手に入れる。必見です。