スカイフォール

Skyfall PosterSKY FALL
監督 サム・メンデス
出演 ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ

 年末に向けて、話題作が次々と封切られていく中、公開が始まったばかりの「ホビット」を横目で見ながら「スカイフォール」を鑑賞。遅ればせながらの鑑賞だったけど客の入りはいい感じで、007の人気を再確認。今回は50周年記念作品だったり、興行成績が歴代一位で前評判もいい。話題性も広告も多く、もはや安牌なんだろうけど、そういう時こそ期待に答えるのは大変だったりする。
僕は007のコアなファンではないが、今回のこの一作にはビックリした。なぜなら、ボンドとMを完全にロートル扱いしているんだよね。ITが全てを司る現代に、スパイという生身の工作員に存在意義はあるのか?という、痛い所と向き合っているんだよね。それだけでなく、
「今のこの時代に007映画はどうなの?」
という問題すらをも重ね合わせて同時に完璧に処理しちゃっているのだ!それどころか、それらを理由にして新しいシリーズへのスタートをも完全に切っている。なんていうか、50年目にして「これからだぜ!」という終わり方なのである。

僕が自分で意識して観だしたのは「ゴールデン・アイ」からぐらいかな。それまでのボンド作品も見ているけど、子供心に残っているのは
「平気で女も殺す」
「協力してくれた人は大体死ぬ」
「しかも結構えげつない死に方」
という「怖い」イメージなんだよね。そして、全作品にどことなく流れるユルい感じ。中身やメッセージ性を気にせず、軽く楽しむ「娯楽作品」が007シリーズだったんだけど、この1本は全く違うんだよね・・・。美しい映像に、自分の存在理由を模索しながら原点を探る主人公。もう、まるで古典、ギリシャ神話である。僕が感じていたユルさは完全なシリアスになって、抱いていたボンドの軽薄さは、ルーツを解明していく間に消えていく。DVDより映画館で観たほうがいい一本だ。