フランスの地下鉄に乗った時、危険を感じた事があった。乗っていた浮浪者らしき男がポケットから小さな銃を出し、僕に向けたのだ。僕は一瞬焦ってすぐによけたのだが、よけながらその銃が僕に向けられたものでない事、そして本物の銃ではない事を相手の視線から読み取った。僕のすぐ後ろにはそいつの浮浪者仲間とも呼ぶべき男がいて、その銃に似たものはそいつに向けられたものだったのだ。偶然に乗ってきた仲間とふざけあっていたのだ。大きな声を出したりせず、必要以上に取り乱さなかった自分に安心しつつ、もしあれが本物の銃で、間違いなく僕に向けられたものだったらどうなっていたのだろう、と考えたら怖くなった。
 アメリカの映画館で銃の乱射事件が起きた時に比べ、今回の事件の方が何倍も問題になっている。やはり犠牲者が子どもである事が大きい。今回のこの事件が銃の規制に繋がらないとしたら、もう何が起こっても無理だろう。
 今回使われた銃はAR-15というアサルトライフル。よく映画で見るM16のレプリカ商品で、アメリカでは10万ぐらいで買えるらしいんだよね。普通に売られていることにビックリだけど、考え方自体が違うってことを理解しないといけない。アメリカの憲法の第一条は表現の自由で、二条が武装の自由だから、もう、当たり前の権利であり、歴史の中で培われた価値観なんだろね。アメリカは銃で自由になった国でもあるし、いつでも国民は政府を見張っているという意味もある。普通の人だったら、
「人間は完璧じゃないからある程度の規制は必要だよね」
という考えるんだろうけど、そうではなく
「乱射事件が起きるのなら、自衛のために銃を買わねば!」
となっちゃうんだよね、絶対。さすがアメリカ・・。