ホビット

The_Hobbit_An_Unexpected_Journey_poster_Hobbits_749x1109  今年の年末は本当に傑作が多い。「アルゴ」も「007」も最高だったけど、この「ホビット」も期待に添う傑作であった。特に僕が愛してやまないゴラムが出てくる件は練りに練られていて、後に待つフロドとの出会いはより意味深いものに感じられる作りになっている。ゴラムサイドに立って考えれば、「バギンス」という名を聞いた時に浮かんであろう、色んな気持ちがより分かるのである。ゴラムに感情移入しすぎかな。
「ホビット」は「LOTR」よりファンタジー要素が多く、明るい雰囲気になっている。ビルボは帰ってくることは既成事実だから当たり前だけど、それはそれで楽しい作りになっている。僕は「LOTR」の何が好きかって、それは一時代を終わらせに行く、帰りのない旅に出かける事から生まれるその「暗さ」なんだけど、「ホビット」にそれはないんだよね。ないんだけど、この先に待つ暗黒時代の足音がヒタヒタと密かに重ねられている描写が所々にあって、ただの冒険譚にはなっていない。
でもやっぱり一番はあの世界観だよね。音楽がなってシャイヤの緑が映ったときに「LOTR」の感覚が蘇るんだよね。そうそう、これ、この感覚ってのが。こういうのって続編ならではの感覚で、このシリーズが愛される一つの理由とも言えるんじゃないのかな。